実は家庭に心を置いてきている夫たち―浮気調査で判明する「夫の本音・価値観」
私の個人的なお話をすると、プライベートでは浮気調査員であることを明かしていません。既婚者・独身・離婚経験ありと様々な人と交友関係があります。興味本位でさりげなく浮気調査に関する意識を聞いてみると、やはりこのようなイメージがあるようです。
「浮気調査って、探偵が法的証拠をつかんできて、すったもんだの末に離婚するものでしょ」
実際には、復縁を選択されるかたがどちらかと言えば多いと感じています。
お子様や両家のご両親のためという理由もありますが、愛情を確認して笑顔で再出発するご相談者さまも珍しくありません。浮気をする夫の本音とはなんでしょうか。
愛人と別れるタイミングを見失っている夫
Rさん(女性)のケースでは、ご主人とその同僚の間に関係ありと報告させていただきました。
Rさんは弁護士の紹介を希望され、弊社の浮気調査報告をもとに離婚手続きを進められる予定でした。しかし1カ月後には、離婚はとりやめて復縁されるとの報告をいただいたのです。
調査対象のご主人は、このように仰られたとのことでした。
- 愛人には種々の問題があり、別れたいとずっと思っていた。
- あの手この手で引き留められて、別れることが出来なかった。
当初は慰謝料や親権について話し合うつもりでしたが、話し合ううちに「夫には家庭が必要だ」と感じて復縁を決意されたそうです。
浮気調査のご報告については、万一ふたたび過ちがあった際の調停資料として保管を決められました。その後はお子様を授かり、幸せに暮らしていらっしゃるそうです。
一見都合がいいように思えますが、このケースでの男性は「浮気調査に救われた」と解釈できます。
そのまま愛人と関係を続けていれば、関係がこじれて取り返しのつかない問題が起きていたかもしれません。事実、不倫関係にあるふたりが刑事事件に発展するというお話はよくあります。
浮気調査はご相談者さまのためだけではなく、対象者のためにも必要だと実感した一件でした。
浮気できるのは帰る家があるからこそ
現場の浮気調査スタッフをバックアップしているなかで、よく不思議に感じることがあります。
情事の最中ですらこまめにパートナーへ連絡している対象者が、相当の割合で存在することです。アリバイ作りの卑劣な行為と考えることも出来ますが、家庭に心を置いてきていることの表れでもあると解釈しています。
入社したときの最初のスタッフ研修で、こんなことを教わりました。
ほんの数十年前までは「妻にバレないように不倫をすることは家庭に対する礼儀」だと真剣に考えられていました。不倫疑惑が持ち上がると、男性の多い職場でも立場を失ってしまいます。家庭を守ることは、一種の掟のようなものだったそうです。
「不倫は甲斐性」という詭弁が成立するようになったのも、20世紀後半になってバブルが起きた頃です。モラルの低い人が富裕層に入っていくなかで、浮気や乱婚は男の勲章という間違った観念が浸透するようになりました。
もっと女性の権利が低かった時代から
- 買えるべきは妻の家
- 家庭があるからこそ油断が生まれる
- 不倫や浮気はいけないこと
という考え方が根底にあります。
余談ですが、不倫や浮気を助長する男性向け週刊誌は、個人的にあまりよく思っていません。浮気調査員としての職業上のモラルがそう感じさせます。一方でこの手の雑誌のなかでも、妻や家庭に深い愛情があることが前提になっているような、そんな文脈を読み取れます。
妻側の現実的な視点
日本はやはり、女性が弱い立場に留め置かれている国です。
先日あった「先進国のジェンダーキャップ(男女格差)調査」によると、149国中110位だそうです。これは離婚のときの法的な主導権を含む「女の人の社会的な権利」を評価したもののようで、愕然としました。
浮気調査で出た事実から「許せない」と判断して離婚に至ったとしても、万一の場合は元夫という切り札を残しておく必要があると思っています。恨みが残るような別れ方でもなく、かつ本人に非を認めてもらうように誘導しなければいけません。
調査スタッフとして、ここが一番難しいと感じています。離婚を選択される際、カウンセラーと連携して次の点を意識しています。
- 家庭あっての浮気・不倫だったことを認識してもらう。
- 調査対象者に罪悪感を残す。
こうした方向性で、ご相談者さまに対応していただけるような「感情の整理方法のアドバイス」です。
素人の意見に耳を貸さず、ご自身なりの「許し方」を
やはり他人の結婚生活のことですから、恋愛の延長として考える無責任な意見もあります。そうした声に耳を傾ける必要はありません。
様々な家庭事情を「浮気される側」から見つめてきた私たちにお話しいただければ、よりよい解決方法をご案内できます。
今事実を確認することと同時に、夫の本音をいったん汲むことも大切です。ご夫婦お互いが納得された上で再出発されることが、調査スタッフとしての目標です。